第98回日本医療機器学会大会レポート
機器管理
除細動器からAEDへの運用変更に伴う対応と機器使用件数の調査報告 名古屋大学
第98回日本医療機器学会大会予稿集より引用
背景
2020年度の除細動器の更新計画に伴い院内の除細動器の一部をAEDに変更する計画を実施した
目的
第96回日本医療機器学会では更新計画とコスト面(経済的な有効性が高く、台数も多く設置できる。)に関しての発表を行ったが、今回は設置変更に伴い設置の調整が必要だった点、また更新後実際のAEDの使用件数に関しての報告をあげる。
結果
2019年までは院内には除細動器59台、AED22台となっていたが更新計画を経て、2023年1月現在は除細動器40台、AED37台となっている。更新時にAEDへ変更した部署で、除細動器に戻す変更はなく運用が行えている。運用の変更に伴い、設置の調整が必要だった点として2点あげる。1つはリハビリテーション部の配置である。当院は心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)として除細動器の設置が義務付けられているが、医事課にも確認を行い、AEDへの変更の確認を行った。
2つ目はMRI室への設置である。こちらは日本不整脈学会を含む3学会にて作成された「MRI対応植込み型デバイス患者のMRI検査の施設基準の要件」の中に「近接した部屋に電気的除細動器を備え」とあるが、初期配置のMRI管理区域内では、AEDの遠隔モニタリング用の電波が届かないトラブルが有り、設置場所の変更を行った。またAED使用状況としては設置してから3年間の間に患者に使用した件数は29件、そのうち実際にショックが入ったのは6件である。うち1台の機器では3年間で12回も使用されているケースもあった。
考察
AEDへの更新は運用だけでなく、施設基準にも考慮する必要がある。ただAEDへ変更することで実際の使用回数が分かり、過去に除細動器が配置されていた部署で使用されていない可能性が示唆された。今回の調査でAEDは使用が偏る傾向が見られたため、頻回に使用される部署に関してはAEDと除細動器のどちらが適正な配置か考慮する必要がある。
経済的メリットから除細動器からAEDに変更される病院は多いと思います。また、医師不在でも使用可能なAEDはCPRを要する患者さんが出た時は電極パッドを貼付するという習慣がついてきているのかもしれませんね。
放電を行うかどうかに関わらず電極パッドだけでも貼付しておくことはよりリスク回避に繋がり有用ではないかと考えますが皆さんの病院では如何でしょうか?
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