第98回日本医療機器学会大会レポート
機器管理
酸素ボンベ用圧力調整器発火事例に対する取り組み 聖隷浜松病院 臨床工学室
皆さんは断熱圧縮による発火を御存じでしょうか?
断熱圧縮とは、外部に熱が逃げないように断熱して気体を圧縮すると、その気体の温度が上昇する現象をいいます。断熱変化の一つで圧縮するときにした仕事が圧力エネルギーに変換され、エネルギーが保存されるからです。
これが原因で看護師さんが酸素ボンベの点検中にボンベと圧力調整器(減圧弁)の接続部分から突然発火し、流量計が破損し部品が吹き飛んだという事例から安全管理強化を行った発表がなされていました。
発火の原因ですが減圧弁の一次側から発火していたことから、酸素ボンベと減圧弁接続部から断熱圧縮による温度上昇と鉄粉などの可燃物が存在したことによる発火と推測されました。断熱圧縮と摩擦熱が原因と考えられています。
対策として、酸素ボンベの取り扱い方法と発火の危険性に関する動画を安全管理と医療ガス安全委員会監修のもと編集作成しEラーニングで動画を看護師、看護助手全員が受講するように対応したそうです。
ハード面ではいくつかの減圧弁をデモで評価し断熱圧縮が発生しにくい防止機能(フローがゆっくり)が付いたものを採用予定となったそうです。
ここで減圧弁の取り扱いをまとめてみました。
減圧弁装着の手順
- 減圧弁を取り付ける(緩み確認)
- ボンベの元栓をゆっくり「開」にする(この時一度全開にしてから半回戻す。バルブの固着防止)
- 減圧弁で圧力を確認
- 圧力確認後、流量計をセットする。
減圧弁を外す手順
- ボンベの元栓をゆっくり「閉」にする。
- 流量計で減圧弁の残圧を3Mpaにする。
- 流量計と減圧弁を取り外す。
これらを再度周知徹底するように努めたのと同時に、ハードウエア(減圧弁)の再検討を行い、ボンベと共に更新していく必要があると結論付けておりました。
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