手術中でのモニター不具合について

最近遭遇した手術中でのモニター不具合についてお伝えします。

 

いつものように手術室にて麻酔器や生体情報モニターで点検作業をしていた時のことです。

隣のオペ室では手術中でしたが麻酔科のドクターに呼ばれて行ったところ、モニターのetCO2の波形がいびつな形をしているとのことで拝見させて頂いたところ、確かに上部がやや丸みを帯びた台形にはなっていなく、最後に波形が下振れする直前が角のように立った感じの波形になっていました。

麻酔科の先生によるとこの現象は昨日の最後のオペから出現し、今日もまたこの状況で2例続けて発生しているとの事。

私は直感的にサンプリングチューブ(患者さんの口元からガスモニター内に呼気を吸引するチューブ)が怪しいと思いましたが、オペが終わってから見て欲しいとのことで、それまで他のセクションを廻ることにいたしました。

 

オペが終わったころに再度行って自分の呼気で見たところ、術中と違って波形がペッシャンコに潰れていました。

 

サンプリングチューブを見たら口元付近で亀裂が有りここから呼気ガスがリークしていたのです。

新しいサンプリングチューブに交換し無事に正常な状態に戻りました。

 

おそらくオペが終わり患者さんをストレッチャーなどに移すためオペ室内に搬入した時に、無造作にサンプリングチューブの先端が床に転がっていて、これに気づかずにストレッチャーなどの車輪で踏んでしまったのではないかと思われます。

 

結局この例は麻酔科医の先生からインシデントレポートとして医療安全側に提出されました。

先日新規の病院様に営業に行ったところ、メンテナンスサービスをやるのなら突然の故障が無いようにしてくれとの要望が有りました。

 

言われることは理解できるのですが、100%これを実現するのは無理な事です。それは今回の様なサンプリングチューブの様な例が有った場合どうにもなりません。それは機器に異常がないことを確認出来ていたとしても、使用者側の故意ではない過失が有った場合故障を誘発させてしまうことがある為です。また、予期できない部品の不具合から発生する故障も、普通に使っていて問題にならなければその時点では異常なしという判定が出ます。ある部品がそろそろ交換しないといない物(バッテリーなど)を除いた部品はいつダメになるか予見できないからです。これは滅多には起こりません。

 

機器の定量的な点検を継続していることと、定期交換部品の交換を管理していれば、機器の経年劣化による性能が維持されているかを定量的に分かるようになりますので、経年を考慮して更新を視野に入れ始めるか、予見できない故障が発生するリスクが上がってきていると判断することは可能です。

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