「急に医療機器が動かなくなる」をテーマに実際の事例を織り込みながら考察していこうと思います。
急に医療機器が動かなくなったら困りますよね。特にこの原因が故障だったら、現場では打つ手が無くなります。メーカーから代替機を借りて修理に出すことくらいしかできません。
では、このようなケースは医療機器にまつわるトラブルの何%程なのかというと実は1割程度なんです。
9割は使い方の拙さや取り扱いの拙さによって誘発された故障になります。
では、取り扱いの拙さによって誘発された故障とはどういったものが有るか検証していきましょう。
主だった原因は以下の通りです
- バッテリー管理
- ケーブル断線
- 筐体破損
今回は筐体破損について
筐体(きょうたい)とは、機器そのものの外装部分に相当する言わばボディに相当する部分です。箱形の機器の場合まさにその箱の部分に当たるもので、外部からの衝撃などを最も受ける部分になります。
機器を落としたとかぶつけたとかした場合に破損するのはこの部分で、これにより内部の機械部分や回路基板などに衝撃が加わることによる破損を少なくする効果が有ります。
しかしながら、この筐体部分が破損することによって直接機器の機能・性能に影響を及ぼす場合が有ります。たとえばモニター類の液晶ディスプレイは、破損すればモニター画面が何も映らなくなるためモニターとして機能しなくなります。
輸液ポンプなら扉の蝶番が破損すると、輸液セットを装着後ドアを閉めても蝶番の部分が浮いてしまい、ドアが輸液セットのチューブをしっかり押しつぶすことができず、フリーフローを起こしてしまう危険が有りますし、実際の事例もあります。
では、このような筐体破損は如何にして防止できるのかというと、取り扱いを丁寧にというのは当たり前ですが、実は清掃の仕方によって変わってきます。
基本的にアルコール類で医療機器の筐体を清拭するのは不可です。但し、金属部分やメーカーが指示している場合は除きます。
基本的にプラスティック製の筐体はアルコールは禁忌です。プラスティックを傷めて破損しやすくなるためです。特に輸液ポンプやシリンジポンプはそうです(ニプロのポンプはアルコール清拭を指示しています。)そのため長年にわたってアルコールでの清拭を続けていると軽くぶつけただけでも致命的なダメージを受けかねません。
薬液などで汚れやすい輸液ポンプ・シリンジポンプなどは特にこの傾向にある為、運搬中などにどこか軽くぶつけたなと思ったら安全性が確認されるまで使用禁止にする必要があります。
コメント
COMMENT